花駒は燦ホールディングス
(東証上場:9628)の
グループ会社です
大倉 克之
葬祭ディレクター

僕は19歳で花駒に入り、入社7年目になります。現在は葬祭ディレクターとして、ご遺族とのお打ち合わせやお通夜・ご葬儀当日の進行を担当しています。落ち着いていると言っていただくこともありますが、最初から人と関わる仕事が得意だったわけではありません。迷いながら、周りの人に支えてもらいながら、今まで続けてきました。
花駒のことを初めて知ったのは、小学6年生のときです。おばあちゃんが亡くなって、イマージュホール木津川でお葬式をしてもらったんです。子どもの頃の記憶なので、細かいことまでは覚えていないんですけれど、「温かかったな」という印象がずっと残っていました。スタッフの皆さんがすごくいい人たちで、悲しい場なのに、どこか安心できる雰囲気があったというか。やんわりとした印象なんですけれど、それが心に刻まれていたんだと思います。
高校を卒業して、さて仕事をどうしようかと考えたとき、漠然と「人の役に立てる仕事がしたい」という思いがありました。それで花駒の求人を見つけて、あの頃の記憶が蘇ってきて、ここがいいなと思ったんです。実際に入ってみると、その印象は間違っていなかったなと感じました。一緒に働く皆さんが、お客様に寄り添うことをすごく大事にされていました。
学生の頃の僕は、仲間内ではわいわいやるけれど、打ち解けるまで時間がかかるタイプでした。初対面が苦手で。そんな自分が人と深く関わる仕事に就くとは、正直思っていませんでした。
入社すぐから、ご遺体の搬送をはじめ葬儀に関わるさまざまな経験を積ませていただきました。右も左もわからないなかで、上司には本当にお世話になりました。お世話になりすぎたくらいです。正直、辞めたいと思ったこともあります。体調を崩して休んでしまったこともあって。でも、治って出社したら「大丈夫か」と温かく迎えてもらえて。花駒だから続けてこられた、という思いはあります。
人と楽しく会話するのが好きなんだと気づいたのも、実は最近のことです。ここ2年ほどでようやく、この仕事が向いているのかもしれないと思えるようになってきました。

葬祭ディレクターとして働くなかで、ご遺族の想いを汲み取るために、コミュニケーションがとても大切だと感じています。それがうまくいかなくて、しんどかった時期もありますし、今でも全然完璧じゃないんですけれど。
そんななかで、入社当時の上司から何度も言われてきた言葉があります。「何事も、まずはお話を傾聴することから。お話を聴いてまずは肯定するのが、何よりも大事やから」
この言葉は、今でもずっと大切にしています。
以前は、こんなことを聞いたら失礼になるかな、悲しませてしまうかなと考えすぎて、そっとしておくことが多かったんです。でも今は、思い切ってお話を聞かせてもらうことも大事だと考えています。無理に踏み込むのではなく、お気持ちを話していただくきっかけを作らせてもらう感覚です。
お打ち合わせでは、いきなり金額やプランの話に入るのではなく、故人様の晩年の過ごし方からお伺いすることが多いです。例えば、入院生活が長かったのか、施設にはいつ頃から入られたのかといったことです。すると、他にもいろいろと話し始めてくださることが多く、故人様のことだけでなく、ご遺族がどんな想いをもって過ごしてこられたのかも知ることができます。
苦労されたご遺族様には「皆様、がんばられましたね」というねぎらいの言葉が口から出ます。そんなやり取りで想いを受け止めてから、お打ち合わせに入らせてもらえたら、と思っています。

ご葬儀の内容を決める最初のお打ち合わせは、大切な方を亡くされたご遺族と花駒が初めて直接顔を合わせる場です。そこでどのような印象を持っていただけるかが、とても大事だと思っています。病院にお迎えに上がるときなども、初対面の瞬間から信頼していただけるよう、気持ちを入れて臨んでいます。
花駒では、最初のお打ち合わせをする担当者と、ご葬儀当日の担当が異なる場合もあります。お打ち合わせでたくさんお話を伺った後に「え、当日は大倉さんじゃないの?」と驚かれる方もいらっしゃいます。
だからこそ、引き継ぎは本当に丁寧に行います。食事の数や発注内容など、実務的なことを正確に伝えるのは大前提ですが、それ以上にご当家様の「色」のようなものを伝えるのを大切にしています。
どういうことを大切にされているのか。お打ち合わせ中の雰囲気はどうだったのかなど、書面では伝えきれないことも多いので基本的に直接、難しいときは電話でご葬儀担当者に伝えるようにしています。ご遺族が、ご葬儀の当日に不安を感じないように、丁寧につないでいきます。
アルバイトで入社して初めてのご葬儀のことは、今でもよく覚えています。ご主人を亡くされた80歳を過ぎた奥様と、一人息子さんの家族葬でした。僕は、もうド緊張です。でも、なんとか少しでも喜んでいただける対応がしたいと、必死で考えていました。
それで、奥様をエレベーターでご案内するときに唐突に「ところで、故人様は何がお好きだったんですか?」って聞いてしまったんです。お寺様へのご挨拶前の短い時間に、「今このタイミングで?」という感じで驚かれていたと思いますが、「え……お肉かな?」と答えてくださって。
その後、故人様へのお供えとしてお肉を用意したんです。すると奥様が「あんな短いやりとりだけで、わざわざ用意してくれたの?」とすごく喜んでくださいました。今から振り返ると、本当にぎこちなかったと思います。でも、スマートでなくても、ご遺族のことを考えて、自分にできる精一杯のことをやろうと感じた経験でした。
僕が心がけているのは、ご遺族に感動してもらうことではありません。「故人のことを考えて、動いてくれているんだな」と少しでもご遺族に弔いの気持ちが伝わればいいなと思っています。
故人様のお仕事や好きだったものにちなんだものをお供えとして用意することもありますが、反応はさまざまです。その場では反応があっさりしていた方でも、後日、後飾りにお伺いしたときに「あのときは、用意してくれてありがとうね」と言っていただけることもあって。そういうときは、ああ、やっぱりやってよかったんやなと思います。
お通夜が始まる前、久しぶりに顔を合わせたご親族の方々が集まる時間になることもあります。故人様がつないでくれたご縁で「久しぶり」「最近どうなん」など、たわいない話をされている。そんなときは、僕が無理に割って入ることはせず、ご親族だけでの時間を過ごしてほしいと思っています。
ただ、お棺の近くにぽつんと一人で腰かけておられる方がいるときなどは、様子を見ながら近づくようにしています。できあがった遺影写真を持っていって「いいお写真ですね。すごく綺麗です」と声をかけたり。
声をかけることだけが、寄り添うことではないのかなと思っています。ご遺族だけの時間を邪魔しないことも、距離感を見極めることも、寄り添いのひとつだと考えています。

「お客様は自分の鏡みたいなもんや」これもまた、上司から教わった言葉で、ずっと心に残っているものです。自分が少し急ごうとしていたり、苦手だなという気持ちを持っていたりすると、それが相手にも伝わって、うまくいかなくなることがあります。だから、自分がまず誠意をもってご遺族に向き合うようにしています。
いつも完璧にできるわけじゃないんですけど、その言葉はいつも頭の片隅にあります。
花駒には、尊敬する葬祭ディレクターがたくさんいます。故人様のためにできることをとことんやろうという人。ご遺族にしっかり寄り添って、自然に信頼していただける人。丁寧な言葉遣いのままで、すっと距離を縮められる人。ご遺族とくだけた雰囲気で話ができる関係を築ける人。この人みたいになりたいと思える方がたくさんいます。
7年目になっても、まだ学んでいる最中です。教えてもらったことを取り入れたり、試したりということを今も続けています。最初から器用にはできたわけじゃないし、今でも迷ったり、うまくできているのか不安になったりすることもあります。
それでも、ご家族の話を聴くこと。受け取ったことを、次へ丁寧につなぐこと。時にはそっと見守ること。そういうことを一つひとつ積み重ねていくのが、この仕事なんだと思っています。一つひとつのご葬儀を大切にしながら、少しずつ自分なりの葬祭ディレクターのかたちを身につけていきたいです。