花駒は燦ホールディングス
(東証上場:9628)の
グループ会社です
東田 純子
品質管理課 セレモニースタッフ
私は現在、花駒のセレモニースタッフとして働いています。事前相談でお客様のお話を伺ったり、通夜や葬儀でサポートをしたり、ホールをきれいに整えたりするのが主な仕事です。
花駒に入る前も、葬儀の仕事をしていました。前職では葬祭ディレクターとして10年ほど働き、事前相談、仏様の搬送、打ち合わせ、発注、設営、司会進行、霊柩車の運転、葬儀後の後飾り、集金まで幅広く経験しました。女性スタッフだけの小さな会社だったこともあり、何でも自分たちでしないと仕事が回らない環境でした。大変なことも多かったですが、その分やりがいもあり、ご遺族様とは最初から最後まで深く関わらせていただきました。
葬儀の仕事は、式の当日だけを見ていればいいものではありません。亡くなられる前から、ご家族様の不安は始まっています。何をしたらいいのか、費用はどれくらいかかるのか、誰に何を伝えればいいのか。そうした不安の中にあるご遺族様と私たちは向き合っています。
前職で葬儀に関わることを一通り経験してきたからこそ、今でも現場全体を見る癖があります。ご遺族様の表情、仏様のお姿、控室の様子、スタッフの動き。そういう細かなところが気になります。今はセレモニースタッフの立場ですが、葬儀の現場を知っているからこそ見えることがあると思っています。

花駒に入社したばかりの頃は、前職との違いに戸惑うこともありました。以前は、自分で何でもしていたので、現場で何かあると、つい体が先に動いてしまうんです。けれど花駒では、葬祭ディレクター、セレモニースタッフ、各部門がそれぞれの役割を持って動いています。最初は、正直に言うと少し物足りない気持ちもあり、もっと自分にできることがあるのにと思う場面もありました。
でも、働いていくうちに、セレモニースタッフならではの寄り添い方があると考えられるようになりました。常にホールを清潔に整えること。事前相談でお客様の不安を伺うこと。通夜や葬儀の場で、ご遺族様の様子を見ながら必要なことに気づき、すっと動くこと。
セレモニースタッフの仕事は、葬祭ディレクターのように式全体を進行する立場ではなく目立つ仕事ではありませんが、ご遺族様が安心して仏様を偲ぶことができる時間、空間を作るとても大事な役割と考えます。
私が大切にしているのは、本当にちょっとしたことです。たとえば、ご遺族様から仏様へのお供え物をお預かりした時。ただお盆に置くだけでも、もちろん間違いではありませんが、少し敷物を添えたり、見え方を整えたりするだけで、印象は変わります。そんなことも、ご家族の気持ちに寄り添うことにつながると思っています。
寒そうに腕をさすっている方がいれば、ブランケットをお持ちする。ご案内する時には、出す手の向きや指のそろえ方、目線や立ち姿にも気を配る。言葉遣い、所作、目線、距離感。どれも小さなことです。でも、大切な方を亡くしたばかりのご遺族様にとって、スタッフの雰囲気や動きは、安心にも不安にもつながります。
私は、そういう気づきはマニュアルだけで身につくものではないと思っています。これまでの人生経験や、人と関わってきた時間の中で育っていく感覚もあります。だから、若いスタッフや経験の浅いスタッフが知らないこと、気づかないことがあれば、細かいこともきちんと伝えるようにしています。
「ほんまに、ちょっとしたこと」なんですけど、そのちょっとしたことをするかしないかで、ご遺族様が感じる安心感は変わると思うんです。

セレモニースタッフの大切な仕事のひとつが、ホールを整えることです。掃除、備品の確認、水回りの確認、控室の準備。どれも小さなことですが、ホールを整えることはご遺族様の心を乱さないための準備だと思っています。
大切な方を亡くした直後のご遺族様は、深い悲しみの中におられます。普段なら気にならないような小さなことが、心に引っかかってしまうこともあります。流し台に髪の毛が落ちている。排水溝からにおいがする。窓に拭き筋が残っている。控室にほこりがある。そうした小さなほころびが、ご遺族様の気持ちを乱してしまうこともあるのです。
花駒の家族葬ホールは、1日1組貸切でご家族に過ごしていただく空間です。通夜の前から葬儀まで、長い時間を過ごされるからこそ、式場だけでなく、控室や水回り、玄関や廊下まで整っていることが大切です。掃除はただの作業ではありません。ご遺族様が余計な不快感を抱かず、落ち着いて過ごされて、お別れに集中できるようにするための準備です。

葬儀の事前相談に来られる方の多くは、費用や流れなど葬儀についてわからないことや不安を抱えておられます。私が大切にしているのは、いきなり家族葬の説明を始めるのではなく、まずお話を聞くことです。館内を見学していただきながら、自然な会話の中で不安や事情を伺います。表情や言葉、話し方の中に、その方が何を心配しているのか、どこに迷いがあるのかを感じ取ります。
葬儀プランの説明も大事ですが、それ以上に大事なのは、「この人はちゃんと話を聞いてくれる」「自分の味方でいてくれる」と感じてもらうことだと思っています。お客様にとって何が必要で、どこに重きを置くのかを伺い、無理のない形で、きちんとお別れができる方法を一緒に考えます。
葬儀には、基本の流れや守るべき所作があります。マニュアルや決まりごとは、安心して式を進めるために必要です。でも、マニュアル通りに動くだけでは足りない場面もあります。仏様の年齢、ご家族の関係性、亡くなられた経緯、ご遺族様の悲しみの深さ…一つとして同じお葬式はないからです。和やかに思い出を語りながら見送る場合もあれば、言葉にならない悲しみの中で、静かに過ごしたいご遺族様もおられます。だからこそ、その時のご遺族様にとって、どの対応がよいのかを考えることが大切です。
「教わった通りに、言われた通りにすること」が正解に見えてしまうことがあります。もちろん、教わったことや基本を守ることも必要ですけれど、それがご遺族様に合っているかどうかは、ちゃんと考えないといけません。
先輩が言ったことも、自分が経験してきたことも、絶対の正解ではありません。もちろん、私が言っていることも全部が正解ではありません。お葬儀はケースバイケースだからこそ、目の前のご遺族様に寄り添うことが大切だと思っています。

私は花駒に入ってからの年数はまだ長くありませんが、現在はチームリーダーも任されています。スタッフのシフト調整や配置にも関わり、チーム全体で現場を支える役割を担っています。スタッフに対しては、細かいことも伝えます。悪気がなくても、知らなければ気づけないことがあります。責めるためではなく、ホールを利用されるご遺族様の気持ちを想像してほしいからです。
セレモニースタッフの仕事は、一人で完結するものではありません。誰か一人が気づくだけではなく、チーム全体がご遺族様の目線で動けることが大切です。そのために、自分が経験してきたことや、現場で感じてきたことを、できるだけ伝えていきたいと思っています。
何事も「気は心」なんです。お供え物を少し整えること。寒そうな方にブランケットをお持ちすること。ホールをきれいに保つこと。仏様のお姿が少しでも安らかに見えるように心を配ること。その根っこにあるのは、仏様への敬意です。仏様への敬意の気持ちがいちばんにあるからこそ、私たちは動けているのだと思います。その小さな一手間が、ご遺族様の安心につながることがあります。
私は、スタッフに「自分の親やと思って動いてみて」と伝えることがあります。自分の大切な家族だったら、どう扱ってほしいか。どんな声かけをしてほしいか。そう考えれば、見え方も、動き方も、お声がけも変わってくると思うんです。
セレモニースタッフの仕事は、葬儀の中心に立つ目立つ仕事ではありません。けれど、ホールを整え、ご遺族様に気を配り、必要な時にそっと動く人がいるからこそ、ご遺族様は安心してお別れの時間を過ごすことができます。小さなことに気づき、できることを重ねること。その一つひとつが、ご遺族様の時間を支え、花駒らしい寄り添いにつながっていくのだと思っています。